焙煎機の排気ダンパー中立点について
ある排気の強さ(ダンパー開度)に対応する火力(ガス圧)の範囲は、かなり限定的なように思えます。火力と排気のバランスが悪いと、ボケボケな印象の味になったり渋みが抜けなかったりと上手くいきません。このため、火力調整の結果を確認するのと同様に、排気ダンパーの操作結果も細かく確認したいところですが、私の使っている富士珈機のR-103には排気風量の変化を計測する装置はついていません。
それでも排気風量の変化を確認しようと思うと、テストスプーンをぬいてテストスプーンがさしてあった穴からの空気の動き(吹き出し、吸い込み)を手をかざして確認するか、生豆ホッパーを開けてホッパー口からの空気の動き(吹き出し、吸い込み)を手をかざして確認するしかないように思います。
一方、R-103の取説の「排気ダンパー位置の中立点」の項をみると、テストスプーンを抜いて、穴からの吹き出しが無くなり、かつ吸い込みもしない開度を排気ダンパー位置の中立点として、これを基準にダンパー位置を調整しなさいと記述されています。
ところで中立点を基準にする意味ですが、私は実のところは、中立点以外の排気ダンパー位置でも、排気と火力のバランスがとれる組み合わせは複数存在するのではないかと推察しています。であるけれども、手をかざして排気の状態を敏感に感じとろうとすると、どうしても中立点から微かに吹き出すくらいまでの位置でしか計測できません。そのため、結果的に排気ダンパーの中立点を基準にして、あとは火力を決めるしかないということになると思うのです。
また、取説に記載されているテストスプーン穴で中立点を確認する方法の他にも、ホッパー口で中立点を確認することも可能です。ただし、テストスプーンの穴と、生豆ホッパーの口では空気の流れる方向に対する開口方向が違います。そのためテストスプーンの穴で中立の排気ダンパーの状態だと、生豆ホッパーの口側ではかなり強く吹き出す感じになります。従ってテストスプーン穴での中立の場合のほうが、生豆ホッパー口を基準にして中立の場合より、排気ダンパーは閉じた状態になっているはずです。
ホッパー口での中立点のほうが、より排気ダンパーは開いた状態になりますので、あわせる火力も強くなります。火力と排気が強めの焙煎を行うのであれば、ホッパー口での中立点を基準に焙煎を進めたほうがよいのかな、と思います。