コーヒー生豆の価格上昇の状況
アラビカコーヒー生豆の国際価格の指標になっているのはニューヨーク商品取引所での先物価格なのですが、このニューヨーク先物価格が急騰しています。3月9日終値で294.85セント/ポンドという価格がついたようで、300セントに迫る勢いです。
この300セント/ポンドという値は、どのような意味の値なのでしょうか。
過去の最高値 1977年 340セント/ポンド
過去の最安値 2002年 50セント/ポンド
フェアトレードの最低貿易価格 121セント/ポンド
フェアトレードの最低貿易価格は、コーヒー栽培農家の生産費と一定レベルの生活を保障できることを前提に設定されているものです。現在の水準は、その2.4倍以上の水準にあります。最高値を記録した1977年以来、300セント/ポンドを超えたことはなく、現在の294.85セント/ポンドは異常な高値だと言えると思います。
(参考:長期チャート)
http://www.futuresbuzz.com/coffeelt.html
最近、コーヒー相場の高値についてはテレビのニュース番組などで、盛んに報じられているようです。そこでは、その主な原因は生産国での消費が伸びて、供給不足が発生し、相場を押し上げていると説明されることが多いようです。
では、生産国、途上国でのコーヒー消費量はどのように推移しているのでしょうか。
以下は、全日本コーヒー協会のサイトですが、3.(2)に、BRICsでのコーヒー消費量が、コーヒーの世界生産量に占める割合の推移が掲載されています。
http://ajca.or.jp/publication/worldmarket.html
これによると、一昨年は17.7%、昨年は19.7%、今年の予測は18.7%となっています。昨年は、生産量が少なく特殊事情があるので単純に比較できませんが、少なくとも一昨年と比べて1%程度しか割合が上がっていません。テレビのニュース番組でヒステリックに報道しているほどには、状況は変わっていないように思えます。
それでは、他に原因らしきものはあるのでしょうか。
私が怪しいと思っているのは、アメリカFRBのQE2(量的緩和政策)です。2010年11月から8ヵ月で6000億ドルの米国債を金融機関から買い上げる(その分、資金が供給される)政策で、今年の6月まで続いています。日本円で50兆円あまりの資金が供給され、これが米国の株式市場や商品市場などのリスク性の資産に流れ込んでいることが考えられます。
http://nakanishikenji.jp/blog/kinyuu/1692
今回の相場の急上昇は2010年6月に140セント/ポンド近辺から上昇が始まり、その後はほぼ上がりっぱなしの状況です。昨年はコロンビア、グァテマラ、ブラジルが軒並み不作で供給不足が顕著であったことから、6月時点では需給関係を原因にして相場が動き出したと考えています。急激に上昇し始めた相場に、11月からはQE2で供給された余剰資金が流れ込んだのではないかということです。
https://www.theice.com/productguide/ProductDetails.shtml?&marketId=800155
もしも、今回の相場上昇の原因が私の想定通りで、なおかつ、QE3が行われないなら、今年の6月から7月、相場の流れは変わる可能性が高いと考えています。
皆さんは如何お考えでしょうか。