直火釜と半熱風釜の違いについて考察
当店で主に使用している3kg釜は直火式焙煎機、新しく購入した250g釜は半熱風式の焙煎機なのですが、この2種類の焙煎機の違いは何なのでしょうか。
どちらの焙煎機も、シリンダーという生豆を入れる部分があります。このシリンダーは円筒の筒を水平に横置きした状態で焙煎機の真ん中に置かれます。熱源はガスのバーナーで、これがシリンダーの真下にあります。さらにシリンダーの上蓋部に、シリンダー内部の空気を吸引する口があり、吸引量は調整可能となっています。
直火式と半熱風式で異なる部分はシリンダーの構造だけです。
シリンダーを交換するだけで、直火式焙煎機は半熱風式焙煎機に変わります。
直火式のシリンダーの円周部分には生豆より小さな直径の穴が複数開いており、底部は塞がれています。このため、バーナーで作られた熱風はシリンダーの円周部の無数の穴を通ってシリンダー上蓋部の吸引口に抜けていきます。
半熱風式のシリンダーの円周部分には穴がありません。かわりに底部分から空気を取り込めるような加工が施されており、バーナーで作られた熱風はシリンダーの底部から入ってシリンダー上蓋部の吸引口に抜けていきます。
絵がないので分かり難くて申し訳ないのですが、2つの方式の最も大きな違いは熱風が通る経路が異なることだと思うのです。直火式の場合、より直線的に熱風がシリンダーを通り抜けますのでダイレクトな操作感になるものの、上部からの吸引を強く行いすぎた場合には、バーナー近辺のまだ暖まっていない空気を熱風と一緒にシリンダー内に巻き込みやすいように思います。半熱風式の場合は一旦シリンダー後部(底部)に熱風が回り込んだ後にシリンダーに入る為、シリンダーに熱風が入るまでの距離が長く、その為に冷気の巻き込みの少ない、より安定した熱風がシリンダーに入るのかもしれないと思えます(計測はしていませんので半ば私の妄想ですが)。
また、直火式焙煎機はシリンダーに直に火が入ると言う人がいますが、私の使っているメーカーの釜の場合はバーナーとシリンダーの距離が適度に開いているので、火柱がシリンダーに入らない状態で焙煎出来ているように見えます。
従って、生豆を直接「焼く」ようなことはなく、「焼く」ことが直火釜の特性を決めているようには思えません。
2つの焙煎機を使用してみて思うのですが、双方の方式の特性を考慮して操作すれば、半熱風式だから、直火式だからといって、味わいの違いは大きくはないのではないかと思えます。ただし、直火式のほうが、よりシビアな操作が必要になるように思えます。
余裕ができたら3kg釜用に半熱風のシリンダーを買い増して、同じ3kg釜同士で、直火と半熱風の違いを試してみようと思っています。ちょっと先にはなりそうですが。
| 固定リンク
「焙煎」カテゴリの記事
- 焙煎機の排気ダンパー中立点について(2011.02.17)
- 焙煎の前半について(2011.01.07)
- 直火釜と半熱風釜の違いについて【実践編】(2010.04.06)
- 直火釜と半熱風釜の違いについて考察(2010.03.12)
- 焙煎時のデータ取得と、データロガー(2009.07.30)
コメント